郷土料理「五箇山豆腐」の特徴は、水気が少なく縄でしばっても崩れないほど身がぎゅっと詰まった堅豆腐です。


祭や仏事の料理を始め、日常の食卓にも欠かせない食材が「五箇山豆腐」です。この豆腐の作り方は、京都の寺院から伝わったもの。昔から暮らしの中に浄土真宗の祈りが根付いていた五箇山ならではの食文化です。五箇山豆腐は大切な仏教行事のひとつ「報恩講」の精進料理に欠かせない食材で、野菜や山菜など山の恵みが中心の食卓の中で、唯一といってもいい加工食品でした。豆腐の白い色も、高貴な食材として考えられました。


材料は、富山県産の大粒の大豆「エンレイ」と、標高1000mの裏山から湧き出した天然水です。地面に染み込んだ雪どけ水や雨水が大地に濾過され、やわらかい軟水として谷筋の地表にあらわれます。この水に一晩つけて、ひとまわり大きく膨らんだ大豆をすりつぶします。加熱する前にすりつぶすことで、雑味のない味に仕上がるといいます。その後、加熱して、おからと豆乳に分けていきます。しぼりたての豆乳は、大豆の甘味が感じられるすっきりとした味わいです。

桶の中で70度ほどの温度になった豆乳に、にがりを入れてかき混ぜ、水分が分離してくるのをじっくりと待ちます。ある程度、水分が分離したら豆腐の型におぼろ状の豆腐をいれていきます。この豆腐の型は「金沢箱」と呼ばれ、江戸時代から続く伝統の型。かつて加賀藩の支配下にあった五箇山に残る独特のサイズです。型の上に石の重りをのせて、さらにじっくり水分を抜きます。
出来上がった五箇山豆腐を水の中で型から外すと、そのまま水の中に沈んでいきます。それだけ、大豆の成分がギュッと詰まっている証拠です。かつては、豆腐を買いに来た人に、わら縄で縛って渡していたとのこと。