由布院発、夏の涼を満喫する旅。名水の聖地「男池」から原生林を抜け「名水の滝」へ。さらに神秘的な緑の回廊が美しい「由布川峡谷」の絶景を巡ります。由布院だけではなく、石畳の情緒漂う湯平温泉に泊まるリラックス旅も提案。
この夏、どこ行く?由布院から少し足を伸ばして、秘密の涼を巡る
由布院の街を楽しんだあとは、少し足を伸ばして、まだ多くの人には知られていない“秘密の絶景”に出会ってみませんか?
今回は、由布院から車でアクセスできる、大自然の神秘と清涼感に包まれた隠れた名所「男池」と「由布川峡谷」の2つをご紹介します。人混みを離れて深呼吸したい方にぴったりの穴場スポットです。
1. 光が織りなす奇跡の青!名水百選に選ばれた湧水場「男池」

由布院から車で約50分。くじゅう連山の一角、黒岳(くろだけ)のふもとに広がる「男池(おいけ)」は、阿蘇野川の源流となる清らかな湧水群です。豊かな水に恵まれた由布市の中でも、格別の神秘を肌で感じられる、特別な水の聖地となっています。
駐車場から男池管理事務所で清掃協力費(100円)を支払い、いよいよ緑豊かな森の中へ。ここからは、手軽な往復30分の遊歩道から本格的な登山まで、目的に応じた多彩なルートを選べます。今回は小川のせせらぎや鳥のさえずりに包まれる、心地よい遊歩道コースへと進みましょう。
遊歩道は自然の形を活かしつつも歩きやすく整備されていますが、木の根が張り出している場所もあるので、足元に注意しながら森林浴を楽しみましょう。
圧倒的な透明度!光が映し出す奇跡のエメラルドグリーン

散策の始まりを告げる最初の見どころであり、最大のハイライトでもあるのが、こんこんと水が湧き出る「男池(おいけ)」の湧水場です。
一歩足を踏み入れると、そこには息をのむほどに透明な水面が広がっており、底に沈む倒木や揺らめく苔までが、まるでそこには何も無いかのようにくっきりと見渡せます。差し込む太陽の光の加減によって、水面は神秘的なエメラルドグリーンや、深いブルーへと表情を変化させ、見つめているだけで心が洗われるような美しさです。
環境省の「名水百選」にも選定されているこの清らかな名水は、年間を通じて約12.6℃とひんやり冷たく、まろやかな味わいが特徴です。湧水場には水汲み場も整備されており、実際にくんで持ち帰ることも可能なため、マイナスイオンを浴びながら、大自然の恵みを五感すべてで満喫することができます。
神秘的な男池の湧水場をあとにしたら、次なる絶景を目指して、さらに豊かな自然が残る遊歩道へと足をすすめましょう。ここからは、まるで深い森の物語に入り込んだかのようなハイキング気分を楽しめます。
豊かな原生林を進む。「名水の滝」へ続くマイナスイオンの遊歩道

歩き出してすぐに包まれるのは、国の天然記念物にも指定されている「黒岳原生林」の圧倒的な緑です。頭上を覆うほどの巨木や、長い年月をかけて苔むした岩肌がどこまでも続き、一歩進むたびに都会の喧騒が遠のいていくのを感じられます。夏の強い日差しもこの深い森が優しく遮ってくれるため、木漏れ日のなかをひんやりとした心地よい風が吹き抜けます。
しばらく森を進むと、思わず足を止めてしまう不思議な光景に出合います。それが、男池名物の一つでもある『岩を掴む木』。大きな巨大な木の根が、ゴツゴツとした大岩を「抱きかかえる」ようにして力強く自生しています。厳しい自然環境のなかで何百年も生き抜いてきた植物の生命力と、長い時間の流れを物語るその姿は、まさに大自然が造り出したアート。森の神秘を象徴する、絶好のフォトスポットです。
さらに奥へと進むと、男池の静かな美しさとはまた一味違う、「ゴーーッ」という力強い水の音が響き始めます。音に導かれるように進んだ先、ついに「名水の滝」に到着です。水しぶきを含んだ涼しい風が吹き抜け、全身で極上のマイナスイオンを浴びることができます。
2. 神秘の涼世界!清流が迎える緑の回廊「由布川峡谷」

由布院から約30分、別府へ向かう途中、やまなみハイウェイから少し外れた場所にひっそりと息づく「由布川峡谷」は、気の遠くなるような年月をかけて刻まれた、深く切り立った美しき岩壁が約12kmにわたって続く、大自然の絶景スポットです。
周囲の喧騒から切り離されたこの峡谷は、一歩足を踏み入れると外界とはまったく異なる涼やかな空気に満たされ、まるで時が止まったかのような神秘的な世界が広がっています。数ある由布市の名所のなかでも、日常を忘れさせる圧倒的な非日常感と、秘境ならではの静謐な美しさを心ゆくまで体感できる、知る人ぞ知る隠れた名所です。
200段の階段を下りて別世界へ。外界を忘れる幻想的な景色

駐車場に車を停めたら、はさま由布川峡谷観光協会で美化清掃協力金(100円)を支払い、目の前に現れる整備された階段を、200段ほどゆっくりと下りていきます。一歩下るごとに周囲の気温がすっと下がっていくのを感じ、まるで異世界への扉を開けていくかのような、幽玄で幻想的な景色が目の前に迫ってきます。
底へと辿り着くと、そこは外界とは隔絶された未知の空間。両側にそびえ立つ岩壁は、狭いところでは幅約2mにまで迫り、最も深いところでは高さが60mにも達します。見上げるほどに高く、大地が深く鋭利に切り込まれたそのドラマチックな姿に圧倒されます。苔むした岩肌と、はるか頭上から降り注ぐわずかな光が織りなす光景は、一瞬で引き込まれてしまうほどの神秘に満ちています。
都会の喧騒を忘れるひととき。澄み切った清流でひんやり水遊び

豊かな緑に包まれた峡谷の内部は、真夏でも驚くほどひんやりとした心地よい空気が流れ、天然のクーラーが効いているかのような清涼感に満ちています。
流れる川の底へと足を浸してみれば、思わずハッとするほど澄み切った清流の冷たさが全身に染み渡り、心地よい刺激とともに旅の疲れをすっと癒してくれます。浅瀬でパシャパシャと水遊びを楽しみながら、はるか頭上から降り注ぐ木漏れ日や瑞々しい緑を見上げていると、五感のすべてが潤い、日々の忙しさや都会の喧騒が嘘のように消え去っていくはず。ダイナミックな大自然のパワーを全身に浴びて、ただゆっくりと流れる贅沢な時間に身を委ねてみてください。
夏旅の小さなお楽しみ。澄んだ川水で冷やす、とっておきのラムネ体験

さらに、この由布川峡谷での滞在をいっそう特別なものにしてくれる、夏ならではの小さなお楽しみがあります。
駐車場にある「峡谷茶屋」で、よく冷えた「峡谷ラムネ」を手に入れてください。ラムネを片手に階段を下り、渓谷の底へと辿り着いたら、さっそく目の前を流れる澄み切った清流の中へ。川底の冷たい水にラムネの瓶をそっと浸してさらに冷やせば、大自然が作った天然の冷蔵庫の出来上がりです。
川のせせらぎに耳を澄ませ、瑞々しい緑を見上げながら、川の水で一段と冷たくなったラムネをごくり。シュワシュワと弾ける爽快な喉越しとともに、どこか懐かしいノスタルジックな夏の情景が広がります。ただ飲むだけでなく、「川の冷たさで冷やす」という贅沢なひと手間が、旅の思い出をいっそう鮮やかに彩ってくれるはずです。
旅の締めくくりは赤提灯と石畳の街へ。山間にひっそり佇む「湯平温泉」

大自然の涼をたっぷりと満喫した夜は、少し足を延ばして「湯平(ゆのひら)温泉」へ。由布院の賑わいとはまた一味違う、山間にひっそりと佇むこの温泉街は、江戸時代に作られたという趣深い石畳の坂道がシンボルです。夕暮れ時になると赤提灯がぽっと灯り、どこか懐かしくノスタルジックな情緒で包み込まれます。
峡谷や原生林を歩いて心地よく疲れた体を、歴史ある名湯がじんわりと芯から解きほぐしてくれる至福のひととき。どこか隠れ家のような静寂のなかで、さらさらと流れる川の音を聞きながら静かに過ごす夜は、夏旅にふさわしい贅沢な締めくくりになります。
「男池」「由布川峡谷」そして「湯平温泉」。由布院のすぐそばにありながら、手つかずの圧倒的なスケールと極上の癒やしが残る、知る人ぞ知る特別なエリアです。次の休日は、少しだけアクティブに靴を履き替えて。五感をフルに潤す、贅沢な夏の周遊旅へ出かけてみませんか?