大和屋で出会う、名古屋の名品「守口漬」。守口大根の漬け込み体験に参加し、栄の食事処で発酵食文化の魅力あふれるお食事をお楽しみください。
贅沢に味わう名古屋の逸品「守口漬」

HAKKOサイトの記事では、愛知県が誇る優れた発酵食品が集まる拠点として名古屋を何度か取り上げました。味噌や醤油のような日常の食卓に欠かせない調味料だけでなく、名古屋には特別な贈り物や祝い事に重宝される贅沢な発酵食品もあります。
その最高級品のひとつが、名古屋名物の「守口漬」です。主に愛知県や岐阜県で栽培される細長い守口大根を、酒粕とみりん粕をブレンドした濃厚な粕に漬け込んで作られます。
「大和屋守口漬総本家」は、守口漬の老舗として知られる名高いメーカーです。オアシス21からすぐ近くにある栄本店では、守口漬の漬け込み体験に参加できます。この体験には試食に加え、大和屋が手がける飲食店で使えるお食事券も付いており、名古屋の誇る食文化を直接味わう絶好の機会となっています。
なぜこの大根の漬物がこれほど重宝される逸品なのか、その魅力と体験への参加方法を詳しくご紹介します。
世界一長い大根!守口大根とは

守口大根は、平均約180センチという驚異的な長さを誇る希少な大根です。過去には1.917メートルにも達したものもあり、「世界一長い大根」としてギネス世界記録を保持しています!
もともとは大阪府の守口市が発祥ですが、現在では主に愛知県と岐阜県の木曽川沿いで栽培されています。9月に種が蒔かれ、約90日後に収穫される守口大根は、下へ下へと伸びるために砂質の土壌を必要とします。そのため、木曽川の河畔が理想的な栽培環境となっています。

一般的な大根とは異なり、守口大根は繊維がぎっしりと詰まっているため、生で食べたり加熱調理したりするには固すぎます。そのため何世紀にもわたり、守口漬(日本の漬物を意味する「つけもの」から派生した、守口大根の漬物)専用として栽培されてきました。
本物の守口漬を作るには数年におよぶ複雑な熟成工程が必要なため、家庭で作られることは滅多にありません。熟練の職人が契約農家と直に連携して製造しているため、地元のスーパーの売り場に生の守口大根が並ぶこともありません。
大和屋における守口大根の漬け込み工程

名古屋に拠点を置く「大和屋」は、1871年の創業以来、守口漬の技を極め続けてきました。守口漬は、奈良や京都を発祥とする有名な「奈良漬」の一種です。しかし、伝統的な奈良漬が主に酒粕を使用するのに対し、大和屋ではみりん粕もブレンドしています。このひと工夫によって上質でほのかな甘みが加わり、他とは一線を画す味わいが生み出されます。
日本の和食に欠かせない甘みのある調味料・みりんは、愛知県碧南市の名産品です。甘みのある液体を搾ったあとに残る栄養豊富なみりん粕は、素晴らしい漬け床となります。愛知の豊かな発酵文化と地元の豊富なみりんに囲まれた環境において、このみりん粕を活用することは大和屋にとってごく自然な選択でした。

守口漬の製造工程は5つの段階に分かれています。まず、大根を2度塩漬けにして余分な水分を抜き、アクを取り除きます。次に、濃厚な酒粕で2段階の熟成を行います。最後に、酒粕、みりん粕、ざらめをブレンドした粕に3ヶ月間漬け込みます。

守口漬が完全に熟成するまでには、約2年半から3年もの歳月がかかります。こうして出来上がるのが、まろやかな甘じょっぱさと深く芳醇な香りを備えた、美しい琥珀色の漬物です。炊き立ての白いご飯や緑茶はもちろん、日本酒などのお酒のお供にも相性抜群です!

職人の熟練した技と数年もの歳月を要する希少な逸品であるため、守口漬は特別な機会、とりわけお中元(日本の夏の贈答習慣)やお祝い事の贈答品として重宝されています。もちろん、名古屋のお土産としても非常に人気があります。
名古屋で楽しむ「守口漬体験」

守口漬は名古屋の誇りであることから、大和屋では栄にある本店にて守口漬作り体験ができます。この体験では、全工程の最後にあたる「5度目の漬け込み(本漬け)」を体験します。アクティビティジャパンからオンラインで予約できるほか、名古屋に数日間滞在される方は本店で直接予約することも可能です。
ワークショップは月曜日から木曜日の16時30分からスタートし、所要時間は約1時間です。栄駅近くの地下街にある、大和屋直営の食事処「鈴波(すずなみ)」での夕食にちょうど良い時間帯に終了します(体験の際にアクセスマップが配られます)。
最初からもっとも印象的なのは何と言っても、本物の守口大根を直接見て触れられることです。実際に目にしないと信じられないかもしれませんが、この大根は本当に1メートルを遥かに超える長さがあります。

続いて、写真やイラストを用いた英語での簡単なプレゼンテーションがあり、大和屋の伝統的な漬け込み工程について学べます。職人たちの手仕事の写真や、段階を追って大根の色が変わっていく様子を目の当たりにすると、この手仕事がいかに手間ひまかけて行われているかが実感できます。

次に、少量の酒粕とみりん粕が配られ、それぞれの香りや色の違いを比べることができます。栄養豊富なこれらの副産物を無駄にせず、漬物だけでなくスキンケアや化粧品にまで再利用するのは日本らしいところで、感慨深いです。

大和屋のスタッフの指導のもと、まずは4度目の熟成でついた大根の酒粕を丁寧に拭き取ります。次に、酒粕とみりん粕を合わせた新しい粕の床に大根を並べ、ざらめを振りかけたら、仕上げにたっぷりと粕を被せます。

作業中にも、みりん粕の濃厚で甘い芳醇な香りが漂い、一口食べるのが待ち遠しくなるほど食欲をそそられます。
容器にしっかりと蓋をしたら、漬物が完成する日付(体験当日のちょうど3ヶ月後)を書き込みます。その日が来れば、ご自身で仕込んだ手作りの守口漬を開封し、日本の味をご自宅でご家族やご友人と一緒に楽しむことができます。

体験の締めくくりには、名物の守口漬をはじめとする大和屋自慢の漬物3種類の試食が楽しめます。奥深く複雑な香りと濃厚な旨みを実際に味わえば、これらの伝統的な漬物がなぜ何世代にもわたって高級な贈答品として重宝されてきたのか、すぐに納得できるはずです。
大和屋本店で手に入る名古屋の味とおすすめのお土産

一歩足を踏み入れれば大和屋本店は名古屋みやげの宝庫であることに気が付きます。
伝統的に、守口漬は風情ある丸い樽に詰められ、職人の技とこだわりを贈る相手に感じてもらえるよう、たっぷりの漬け粕に覆われた状態でパッケージされています。ちなみに、召し上がる際のおすすめのポイントとして、漬け粕はぬぐいとる程度で、水で洗い流さないようにしてください! 一口大に切り分けた守口漬に、芳醇な粕をほんの少し添えて召し上がるのが一番美味しい食べ方です。

旅行中での持ち運びやすさを考慮し、大和屋ではコンパクトなパック入りの守口漬も用意されています。さらに、きゅうり、たけのこ、子瓜、一般的な大根など、さまざまな種類の伝統的な奈良漬も取り揃えています。

特に印象に残ったのは、守口漬や奈良漬が食べきりサイズ(各17g)で入ったカラフルな小さめのギフトボックスです。色々な味を試してみたい時や、帰国後にお友達へ配るお土産にぴったりです。お好みの種類を自由に組み合わせることも、4種類が入ったギフトセットとして購入することもできます。

もうひとつ私たちの目を引いたのは、みりん粕や味噌粕に漬け込んだチーズです。和の発酵文化を取り入れたこのアレンジによってチーズが劇的に変化し、上品な甘みと豊かで芳醇な香りが広がります。大和屋では試食が用意されているので、購入前に味を確かめることができます!

大和屋の棚には、季節限定の商品なども含む多種多様な漬物がずらりと並んでいます。ぜひじっくりと商品をご覧いただき、この贅沢な味わいをお持ち帰りください。名古屋の豊かな職人文化が存分に詰まった逸品ばかりです。
「鈴波」での食事:発酵によって引き出された名古屋の味覚を堪能

守口漬のワークショップには、大和屋直営の地元の人気店「鈴波 栄森の地下街店」で使える2,200円分のお食事券が含まれています。鈴波は、甘みのあるみりん粕で漬け込んだ魚の粕漬けで知られています。なお、このお食事券は体験当日に限り有効ですのでご注意ください。
体験後に、配布された地図を手にそのまま夕食へと向かうことができます。メニューにあるお好きな料理を注文できますが、大和屋のおすすめは「名古屋三昧 鈴波御膳」です。名古屋を代表する味覚を心ゆくまで堪能できる内容となっており、以下の料理が楽しめます:
- 魚のみりん粕漬け:香ばしく焼き上げられた魚は、豊かな旨みとほんのりとした甘みが引き立ち、思わずおかわりしたくなる美味しさです。
- 名古屋の味:うなぎ、鶏肉、手羽先の3種のご当地名物を、みりんのタレで香ばしくじっくりと焼き上げた豪華な一皿。
- 八丁味噌の味噌汁:名古屋名物である、濃厚で深みのある熟成豆味噌を使用したお味噌汁。
- 漬物盛り合わせ:もちろん、シャキシャキとした食感と香りの良い守口漬がその中で主役を飾ります。

食事を進めるうちに、守口漬がどのように主菜を引き立てるかを実感できるはずです。お口直しとしてはもちろん、心地よいシャキシャキとした食感で食欲をそそります。
地域の豊かな旨みがぎゅっと詰まった大満足のメニューで、なぜ名古屋がこれほどまでに独自の食文化で知られているのか、深く納得させられます。また、「鈴波」が地元の人々にどれほど愛されているか、席を待つ行列からも一目でわかります。まさに名古屋の食卓に欠かせない、長年愛され続けている名店です。

お帰りの際には、ぜひお店の入口にある売店コーナーにお立ち寄りください。ご自宅で手軽に調理できる魚のみりん粕漬けのパックをはじめ、大和屋の姉妹ブランドが手がけるさわやかな飲むお酢や、その他の厳選されたグルメが販売されています。
まとめ

世界の高級ファッションブランドが立ち並ぶ賑やかな栄の通りに佇む大和屋本店は、150年以上にわたり名古屋の食文化を形作ってきたブランドです。名古屋にお越しの際はぜひ立ち寄って、大和屋が誇りを持って作り上げる芳醇な守口漬を味わってみてください。もし名古屋で少し時間に余裕があるなら、守口漬作り体験に参加して、この高級な漬物の背後にある伝統の技を直接体感してみてはいかがでしょうか。
この体験は、旅が終わったあとも長く心に残り、名古屋の魅力や独自の歴史とあなたを結びつけてくれる、思い出深く味わい深いひとときとなるはずです。