岡山県倉敷市の児島(こじま)エリアで、いま話題の「塩ラーメン」を知っていますか? 児島は昔から塩づくりで栄えた町です。近年は、塩を使って地域を盛り上げる「塩結びプロジェクト」が行われています。そこから生まれたのが「児島塩ラーメン」です。
児島はなぜ「塩の町」? 塩づくりの歴史

児島は、岡山県倉敷市の南部にあるエリアです。昔は瀬戸内海に浮かぶ島でした。そのため、海水から塩をつくる製塩業が古くから盛んで、「塩田の町」として知られています。塩田とは、海水を使って塩をつくるための広い土地のことです。平安時代の初めに朝廷がまとめた歴史書『日本後紀』にも、児島の塩についての記述があるといわれています。

児島の塩を語るうえで欠かせない人物が、野﨑武左衛門(のざき ぶざえもん/1789〜1864年)です。1827年に当時の岡山藩(江戸時代の地方の領地)から許可を得て、製塩事業を始めました。一代で広大な塩田をつくったことから、「日本の塩田王」と呼ばれています。児島には、当時の暮らしや様子を知ることができる「旧野﨑家住宅」と「野﨑家塩田歴史館」があります。
倉敷児島塩結び(えんむすび)プロジェクトとは

この塩に注目して始まったのが、「倉敷児島塩結びプロジェクト」です。「塩結び」には、塩を通して人・企業・地域が新しいご縁を結ぶという意味が込められています。ライターは、このプロジェクトについて児島商工会議所(地域の事業者を支える団体)の小松原達矢さんに話を聞きました。
もともと児島には、気軽に買って配れるお土産が少なかったそうです。そんなときに下津井電鉄(地元の鉄道・バスなどの会社)から提案があり、「児島といえば塩。塩を観光の魅力にできないか」というアイデアが生まれました。最初につくられたのが、旧野﨑家住宅(ナイカイ塩業株式会社)と下津井電鉄が開発した「塩田王 野﨑家の塩(下津井電鉄プライベートブランド)」です。1年目は、この塩を使ったお土産や商品づくりを、倉敷・児島や岡山県内外の事業者に相談しながら進めました。2年目には、「実際に児島に来て塩を感じてほしい」という思いから「児島塩ラーメン」が誕生しました。3年目には塩をテーマにしたイベントを開催し、4年目の2026年も関連イベントを予定しています。
児島塩ラーメンとは?

「児島塩ラーメン」は、2024年に児島の新しいご当地グルメとして誕生しました。児島にお店をもつ協力店が、それぞれ工夫をこらして一杯をつくっています。共通ルールはひとつだけで、「塩田王 野﨑家の塩」を使うことです。それ以外は自由なので、お店ごとに味や見た目が違い、食べ比べも楽しめます。
2026年9月現在、児島塩ラーメンを食べられるお店は次の9店舗です。「塩麺みずき」、「二代目麺屋ゆうじろう」、「鴻ノ池サービスエリア(上り店・下り店)」、「スープバル 8 by setoiro」、「三好野レストラン児島店」、「金烏RAMEN STELLAR EXPERIENCE」、「お好美屋」、「瀬戸内の味 清香」です。JR児島駅にも紹介看板があり、どのラーメンもおいしそうに見えます。ライターは、その中から気になった数軒を実際に訪ねました。
児島駅から徒歩約5分:金烏 RAMEN STELLAR EXPERIENCE の塩ラーメン

「金烏(きんう)RAMEN STELLAR EXPERIENCE」は、JR児島駅から歩いて約5分の場所にあります。駅から近いので、初めて児島塩ラーメンを試すのにおすすめです。2025年10月末に、児島7番街(児島駅近くの商店街)にオープンしました。ラーメンの説明は、塩結びプロジェクト公式サイトの紹介文がとても分かりやすいので、そちらを引用します。
※以下、塩結びプロジェクト公式サイトの紹介文より(読みやすいよう一部の表現を調整しています)
「自家製の麺と、すっきりとして上品な味のスープが自慢のお店です。スープは『醤油』と『塩』の2種類があります。なかでも塩ラーメンは、黄金色に輝く上品な一杯です。かつお節、あじ節、昆布など、海のうま味をぎゅっと詰め込んでいます。味のベースとなる塩ダレには児島の塩を使い、日本酒や白ワインの香りに白醤油を加えて、深みのある味に仕上げています。オリーブオイルをベースにした香味油はやさしく、しっかりした味わいです。香り豊かな細めの自家製麺がスープによく絡みます。具材は、真空低温調理でうま味を閉じ込めた、しっとりやわらかいローストポーク風のチャーシューや、やわらかい穂先メンマなど、素材にこだわっています。洗練された児島塩ラーメンです。」
(引用ここまで)
実際に食べてみると、薬味のネギと三つ葉(さわやかな香りの日本の香味野菜)が口の中をさっぱりさせてくれます。チャーシューもメンマも大きめで、食べごたえがありました。塩ラーメンなので全体的にあっさりしていて、具材の味をしっかり楽しめるところも魅力です。

【金烏 RAMEN STELLAR EXPERIENCE】
所在地:岡山県倉敷市児島駅前2-10-26
営業時間:11:00~14:30(L.O.14:00)
定休日:水・日曜日
駐車場:なし ※近隣に無料駐車場、パーキングあり
金烏RAMEN STELLAR EXPERIENCE|公式インスタグラム
車で行く価値あり:二代目麺や ゆうじろう の児島塩ラーメン

次は、児島に住む知人から教えてもらったおすすめのお店です。JR児島駅からは少し距離があるため、車での訪問をおすすめします。でも、わざわざ行く価値のあるお店でした。
※以下、塩結びプロジェクト公式サイトの紹介文より(読みやすいよう一部の表現を調整しています)
「このお店は、豚骨ベースのみそラーメンで有名です。みその種類は、青みそ・黒みそ・黄みそ・赤みそ・中みそ・白みそと豊富です。そのなかで、通好みの渋い一杯が、こちらの児島塩ラーメン(1,020円)です。豚骨のこってりしたうま味の奥に、すっきりとした味わいと塩味が広がります。ゆずの皮と、下津井(児島の漁港の町)の鷲羽(わしゅう)のり(岡山産の海苔)が、味を引き立てる名脇役です。鶏のチャーシューとスープの相性も抜群で、ほろほろのチャーシューと煮卵がついているのもうれしいポイントです。メニューが豊富なので、日によって違う一杯を選び、自分のお気に入りを見つけるのも楽しそうです。もちろん、おすすめは児島塩ラーメンです。」
(引用ここまで)
基本の「普通盛り」に、煮卵を含めた具材がすべてのっているので、ボリュームは十分です。薬味は三つ葉だけで、ネギは塩ラーメンのあっさりした味には香りが強すぎるため、あえて三つ葉にしているそうです。こうした細やかな心づかいに感動しました。スープに入ったゆずの皮もよく効いていて、さっぱり食べられる工夫がたくさんあり、すばらしい一杯でした。

【二代目麺や ゆうじろう 】
所在地:岡山県倉敷市児島下の町4-13-56
電話番号:080-8898-5574
営業時間:11:00~14:00 ※夜営業はSNSでご確認ください
定休日:日曜日
駐車場:あり(7台)
家族みんなで楽しめる:三好野レストラン 児島店 の鶏塩野菜ラーメン

「三好野(みよしの)レストラン」は、天満屋ハピータウン児島店(地元のショッピングセンター)の2階にあります。昔ながらの家族向けレストランで、席が広く、家族みんなでゆっくり食事ができます。メニューが豊富で、どれもおいしそうでした。このお店の児島塩ラーメンは、「鶏塩野菜ラーメン」です。
※以下、塩結びプロジェクト公式サイトの紹介文より(読みやすいよう一部の表現を調整しています)
「天満屋ハピータウン児島店の2階にある三好野レストランは、3世代のお客様が利用できるファミリーレストランです。三好野本店のレストランに伝わる味や作り方を取り入れ、幅広いメニューを提供しています。『児島らしいメニューを』という思いから生まれたのが、『鶏塩野菜ラーメン』です。野菜、鶏肉、エビ、煮卵がたっぷりのっていて、タンメン(野菜たっぷりの塩味ラーメン)のような児島塩ラーメンに仕上がりました。自慢の鶏ベースのスープに、海の幸と野菜の甘みやうま味が溶け込んだ、やさしい味わいです。ボリュームのある一杯ですが、飽きずに最後まで食べられます。」
(引用ここまで)
三好野は、岡山で人気の駅弁「祭ずし(まつりずし)」を販売していることでも知られています。その名前のとおり、具だくさんで食べごたえのあるラーメンでした。柚子胡椒が添えられていて、味を変えながら食べられるのもうれしいポイントです。

【三好野レストラン 児島店】
所在地:岡山県倉敷市児島駅前2-35
TEL:086-473-7629
営業時間:11:00~17:00(L.O.16:30)
定休日:なし
駐車場:あり
会場で児島塩ラーメンが食べられる! 塩結びプロジェクトのイベント「備中塩騒 in 児島」

2026年10月31日(土)と11月1日(日)に、塩結びプロジェクトのイベント「備中塩騒(びっちゅうしおざい) in 児島」が開催されます。会場は王子が岳(おうじがたけ)の山頂にある芝生広場です。会場では児島塩ラーメンを食べられます。児島の塩と備中地域の特産品を組み合わせたコラボグルメの出店もあります。ステージイベント、スタンプラリー、宝さがしなど、家族で塩の魅力を楽しめる内容だそうです。ぜひ足を運んでみてください。
まとめ:ラーメンのあとは塩のお土産も


「塩結びプロジェクト」では、ラーメンだけでなく、塩を使ったお土産も販売しています。天満屋ハピータウン児島店のギフトコーナーには、プロジェクトから生まれた商品がたくさん並んでいます。児島地区のホテルなどでも購入できます。詳しくは塩結びプロジェクトの公式サイトをご覧ください。児島に立ち寄った際は、ぜひお土産にもどうぞ。
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