岐阜県大垣市の夏の名物「水まんじゅう」の美味しさの秘密に迫ります。豊富な地下水が育んだ大垣ならではの和菓子文化や歴史を、製造工程に密着しながらご案内します。
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目次
- 大垣が「水の都」と呼ばれるワケは豊富な地下水にあり
- 「おやつ」を超えて大垣の食文化となっている「水まんじゅう」
- 老舗「金蝶園総本家」の工房に潜入!水まんじゅうができるまで
- かき氷×水まんじゅう!「餅惣」の名物「水まん氷」
- 大垣の特産品である枡にも注目
- 夏の大垣で、豊かな水が育んだ涼菓を味わおう
大垣が「水の都」と呼ばれるワケは豊富な地下水にあり

大垣市は木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)の西側にあり、岐阜県の中でも西濃地区と呼ばれています。
木曽三川の豊富な水は地面の中にゆっくりと時間をかけて染み込み(涵養)、西濃地区の地下深くに地下水となって蓄えられてきました。
その中でも大垣市は「水の都」として知られ、100数十メートル程度深く井戸を掘ると、この地下水が自然と湧き出てきます(自噴井戸)。自噴井戸が盛んに掘られるようになったのは江戸時代末期以降。大垣市の人々は、この自噴井戸を使って豊かな水と一緒に暮らしてきました。
明治期に作られた大垣市の名物「水まんじゅう」もこの豊かな水との暮らしのなかで作られた、夏の涼を楽しむ逸品です。今回はこの水まんじゅうを深掘りしてご紹介します。
「おやつ」を超えて大垣の食文化となっている「水まんじゅう」

大垣の水まんじゅうは大量に湧き出る自噴井戸と深い関係があります。近代化とともに大垣市内のあちこちで掘られた井戸は水温が一年を通して平均15℃ほどに保たれ、夏は暑さをしのぐため、スイカや野菜などが冷やされてきました。
水まんじゅうもこの湧き出る豊富な井戸水を使って作られます。大垣の豊富な水で炊いた餡を葛粉とわらび粉でできた柔らかい生地で包み込んで蒸しあげたものを、冷たい地下水で冷やして食べるのが水まんじゅうの特徴です。
大垣の地域性が強く現れた水まんじゅうは単なる夏のおやつではなく、大垣の文化そのものであるとも言えます。大垣の文化を守りつづけるため、学校や家庭で水まんじゅうづくり体験を行う活動などもあります。

地域の文化と季節感を大切にする和菓子屋さんでは、水まんじゅうを春頃から夏の終わり頃まで販売。冷蔵庫や冷凍庫がない時代から涼を取るために食べられてきたという経緯や背景にも思いを馳せながら、ぜひ水まんじゅうのつるんとした上品な食感を楽しんでください。
老舗「金蝶園総本家」の工房に潜入!水まんじゅうができるまで

大垣駅からすぐの「金蝶園総本家」では、店頭で水まんじゅうを冷やす実演が見られます。眺めと流れる水の音で涼を感じるだけでなく、店頭で冷やした水まんじゅうはお店の中ですぐに食べることができます。
水まんじゅうは鮮度と温度が命。作ってから時間が経ちすぎても、冷蔵庫で冷やしても本来の上品な食感が楽しめません。蒸しあがった水まんじゅうを井戸水で素早く冷やし、すぐに食べるのが最高の状態でこの銘菓を味わう秘訣です。
金蝶園総本家の工場内では、通常2名体制で水まんじゅうを作り続けています。一番美味しい状態でお客さんに水まんじゅうを食べてもらうために、その日の売れ行きを見ながら次々と店頭に並べていきます。
葛粉にわらび粉を配合した独自製法の生地を作る

夏の銘菓である水まんじゅうを作る工場内には大きな釜や蒸し器があり、外よりもさらに高い気温の中で作業が行われます。
水まんじゅうの生地は水に浮かべて食べることを前提に、葛粉だけでなくわらび粉を配合。透明感があり上品な口どけの葛粉にわらび粉を入れることにより、水で冷やしたときに生地がふやけにくくなります。
色とりどりのお猪口の中に生地を流し入れ餡を詰める

釜で炊いた生地をお猪口に入れ、その中に餡を詰めていきます。餡は水まんじゅう用に硬めに炊かれた特製品で、葛粉とわらび粉でできた水分たっぷりの生地と調和してちょうどいい味わいになるよう工夫されています。
餡を炊くときに使う砂糖は、品の良い甘さになるよう氷砂糖を使用。金蝶園総本家では丁寧な工程を経て作られる餡をもとに、水まんじゅうだけでなく定番の金蝶園饅頭なども作っています。
お猪口ごと蒸しあげたら冷やしてお客さんのもとへ

お猪口に入れられた生地と餡を蒸しあげ、粗熱をとったものは次々と店頭へ運ばれていきます。店頭の地下水で食べごろまで冷やされた水まんじゅうは水流でお猪口からつるんと外され、お店の中で待つお客さんのもとへ。
金蝶園総本家の水まんじゅうは通常のこしあんだけでなく、抹茶、季節ごとの限定あんなどさまざまな味のものが売られています。これは6代目店主のこだわりで、水まんじゅうという大垣の文化を守るだけでなく、さらに広めていこうという取り組みなのだとか。実際に水まんじゅうはテレビやSNSで何度も取り上げられて、大垣の文化として全国的に知名度を広げていっています。
かき氷×水まんじゅう!「餅惣」の名物「水まん氷」

大垣市内で水まんじゅうを売る和菓子店の中でも特徴的な商品が「餅惚」の「水まん氷」です。
水まん氷はかき氷の中に水まんじゅうが入っている変わった品。もともと現店主のお父様が、「近隣のお客さんが帰宅してすぐ食べられるように」と冷たいかき氷の中に水まんじゅうを入れて渡していたのがはじまりでした。
このようにして、SNS映えへの意識ではなく、お客さんへの優しさから開発された水まん氷。現在は水まんじゅうの風味との相性を考え、かき氷には白みつがかけられています。
かき氷の入った八角形の枡を掘ってみると、一口サイズの水まんじゅうがお目見えします。水まんじゅうはお店によってサイズもこだわりも異なるため、食べ比べてお気に入りの水まんじゅうを探してみるのもおすすめです。

なお、この八角形の枡は特注品とのこと。四角形の枡では隅のほうの氷が食べにくくなるため、市内の枡を作るお店に協力を仰いで八角形の枡にしたのだそうです。餅惚店主の優しさが現れる特注の枡に入れられた水まん氷は優しい味で、暑い日に一休みして食べたくなるお菓子です。

餅惚では、現店主がファンだという原田知世さんや岐阜ゆかりの朝ドラ「半分、青い。」をイメージした変わり種の水まんじゅうも販売中です。
大垣の特産品である枡にも注目

餅惚でも使われている枡は大垣の名産品です。日本で生産される枡のうち八割が大垣で作られており、大垣市では枡を使った「ぷらっと西美濃通行手形」というキャンペーンを実施中。
ひのきの香りがする枡を手に街歩きすると、大垣市内の観光スポットが無料になるなどのサービスが受けられます。
ぜひ枡を手に大垣市内をめぐって、その休憩として水まんじゅうを味わってみてください。
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夏の大垣で、豊かな水が育んだ涼菓を味わおう

暑いことで知られる岐阜県の真ん中に位置する大垣市では、その暑さのなかでも涼をとるための文化が発展してきました。水まんじゅうは大垣の食文化として和菓子屋さんから大切にされ、市民にも長く愛されてきたものです。
春から夏の終わりにかけて販売される水まんじゅうは現地でしか味わえない特別な逸品。
大垣は名古屋から電車で約30分と好アクセスな場所にあり、東海地方を観光中であれば日帰り観光も可能です。暑い夏さえ楽しみになる期間限定の水まんじゅうを、ぜひ大垣へ食べにきてください。